製品という言葉を、あらためて真剣に考えてみると面白い視点が見えてきます。
皆さんは「製品」と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。自転車やエアコン、スマートフォンなど、工場で製造されるメーカー製品をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、製品という言葉にはそれ以上に多くの意味と視点が含まれています。
この構造を理解しないままでは、どれだけ優れた製品を作っても、競合との差別化は難しくなります。
本記事では、マーケティング理論でよく用いられる**「製品の3層モデル」**について解説します。
この考え方を理解することで、既存市場の見え方が変わり、思いもよらなかった新しい製品アイデアやビジネスチャンスを発見できるはずです。
製品の3層モデルとは
製品を異なる角度から捉えると、大きく3つの層に分けて考えることができます。
これを製品の3層モデルと呼びます。
製品の3層とは、次の3つです。
- 製品の核
- 製品の形態
- 製品の付随機能
それぞれを詳しく見ていきましょう。
① 製品の核|顧客が本当に欲している価値
製品の核とは、その製品から得られる本来の便益や機能そのものを指します。
つまり「顧客が何のためにその製品を買うのか」という根本的な価値です。
例えば、ドライヤーを例に考えてみましょう。
ドライヤーの製品の核は「髪を乾かすこと」です。
ここで重要なのは、髪を乾かす手段はドライヤーだけではないという点です。
バスタオルで髪を拭くことでも、同じ「髪を乾かす」という機能は満たせます。
このように考えると、製品の核は非常に抽象度の高い概念だと分かります。
そして、この抽象度を上げて考えることが、新しいビジネスアイデアの源泉になります。
「この製品でなければならない理由は何か?」
「別の方法でも同じ価値を提供できないか?」
こうした問いを持つことが、イノベーションの第一歩です。
② 製品の形態|価値を実現する具体的な姿
製品の形態とは、製品の核を実現するために具体化された形を指します。
つまり、顧客が実際に目にし、手に取るモノやサービスです。
先ほどの例で言えば、「髪を乾かす」という核を実現する形態が、ドライヤーやバスタオルになります。
同じ製品の核であっても、形態は複数存在します。
この視点を持つことで、既存製品に縛られない柔軟な発想が可能になります。
多くの企業は、製品開発を考える際にこの「形態」から発想してしまいがちです。
しかし、形態から入ると、どうしても競合と似た製品になりやすく、価格競争に陥りやすくなります。
まずは製品の核に立ち返り、その価値を実現する最適な形態は何かを考えることが重要です。
③ 製品の付随機能|差別化の鍵となる要素
製品の付随機能とは、製品購入時や購入後に得られる付加的なサービスを指します。
代表的な例としては、保証、アフターサービス、サポート体制、交換サービスなどがあります。
ここで押さえておきたいのは、製品とは必ずしも「モノ」だけを指すわけではないという点です。
顧客に提供される体験全体が、製品だと考えることができます。
成熟市場では、製品の核や形態での差別化が難しくなります。
その結果、付随機能が競争優位の源泉になるケースは非常に多いです。
例えば、同じ性能の家電であっても、手厚いサポートや迅速な修理対応があるだけで、顧客の選択は大きく変わります。
ユーザーが本当に得たい便益を叶えているか?
製品を販売する際、私たちはつい「自社の製品そのもの」を売ろうとしてしまいます。
しかし、顧客が本当に購入しているのは製品ではなく、製品を通じて得られる便益です。
顧客の欲求を満たす手段は、必ずしも一つではありません。
自社製品以外にも、同じ欲求を満たす代替手段が存在する可能性があります。
この視点を持たないと、思いもよらない競合が現れます。
これは経営戦略でいう**「代替品の脅威」**にあたります。
自社の製品が解決している顧客の課題は何か。
その課題を解決する別の方法は存在しないか。
こうした問いを常に持ち続けることが、新しい価値創造につながり、同時に競争リスクから自社を守ることにもなります。
まとめ|製品を再定義することが競争力になる
製品の3層モデルは、単なるマーケティング理論ではありません。
製品を「再定義」するための強力な思考ツールです。
製品の核を見極め、形態に縛られず、付随機能まで含めて価値を設計する。
この視点を持つことで、競争の土俵そのものを変えることができます。
ぜひ一度、自社の製品や身の回りのサービスを、製品の3層モデルで見直してみてください。
そこから、新しいアイデアやビジネスのヒントが見えてくるはずです。


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