株式投資で有名な売買シグナルの一つが、**移動平均線のゴールデンクロス(GC)・デッドクロス(DC)**です。
短期移動平均線が長期移動平均線を上抜けたら買い、下抜けたら売る——非常にシンプルなルールですが、長年多くの投資家に利用されてきました。
しかし本当に重要なのは、どの市場でこの戦略が最も機能するのかという点です。
同じルールでも、
- 全市場に分散して使うべきか
- 値動きの大きいグロース市場に集中すべきか
- 安定感のある非グロース銘柄に使うべきか
によって、成績は大きく変わります。
今回は、25日移動平均線と75日移動平均線のクロス戦略を用い、3つの市場区分でバックテスト比較しました。
検証ルール
売買条件
- 買い:25日線が75日線を上抜けした翌営業日の寄付きで買い
- 売り:25日線が75日線を下抜けした翌営業日の寄付きで売却
- 検証期間:2000/01/04 ~ 2026/04/28
- 対象市場
- 全市場
- グロース銘柄
- 非グロース銘柄
3市場の比較結果一覧
| 項目 | 全市場 | グロース | 非グロース |
|---|---|---|---|
| 総取引回数 | 162,149回 | 38,664回 | 98,266回 |
| 平均保有日数 | 72.79日 | 72.04日 | 71.52日 |
| 勝率 | 39.46% | 39.79% | 40.41% |
| 平均利益 | 24.34% | 27.60% | 21.68% |
| 平均損失 | 8.90% | 9.30% | 7.79% |
| 期待値 | 4.22% | 5.38% | 4.12% |
| 累積損益率 | 683,521% | 208,009% | 404,678% |
結論:最も優秀だったのはグロース市場
少し意外だったのですが単純な収益効率(期待値)ではグロース市場がトップとなりました。
期待値は1回あたりの売買で平均どれだけ利益が見込めるかを示す重要指標です。
- 全市場:4.22%
- グロース:5.38%
- 非グロース:4.12%
この数字からわかるのは、ゴールデンクロス戦略は成長株の強い上昇トレンドを捉えやすいということがわかりました。
グロース株は一度資金が集まると大きく上昇しやすく、その流れに乗ることで平均利益27.60%という高い数値につながりました。
なぜグロース市場で強いのか?
グロース株には以下の特徴があります。
1. 上昇トレンドが長く続きやすい
新規事業、テーマ株、AI、半導体、バイオなど、材料がある銘柄は数か月単位で上昇することがあります。
移動平均線クロス戦略は、このような継続的トレンドとの相性が抜群です。
2. 利益幅が大きい
非グロース市場の平均利益21.68%に対し、グロース市場は27.60%。
つまり勝った時の伸びが非常に大きいのです。
3. 勝率が低くても利益が残る
勝率は39.79%と高くありません。
しかし損失を小さく抑え、大きな勝ちで回収する典型的な順張りモデルです。
安定感なら非グロース市場
非グロース市場は、期待値ではグロースに劣るものの、**勝率トップ(40.41%)**でした。
また平均損失も最小です。
- グロース:9.30%
- 全市場:8.90%
- 非グロース:7.79%
これは大型株や成熟企業が多く、値動きが比較的落ち着いているためです。
- 急騰急落が苦手
- メンタル負担を減らしたい
- 着実に運用したい
そのような投資家には非グロース市場のほうが扱いやすい可能性があります。
市場を投資家タイプ別に分類すると
利益最大化を狙うならグロース市場
もっとも期待値が高く、爆発力があります。
資産を大きく増やしたい人向きです。
安定運用なら非グロース市場
勝率・損失率のバランスが良く、精神的負担が軽めです。
この比較から学んだこと
同じゴールデンクロス戦略でも、市場選びで成績は大きく変わることが分かりました。
つまり、
- 手法だけ真似しても不十分
- どの市場で使うかが重要
- 市場特性と戦略の相性がある
ということです。
多くの投資家はエントリー条件ばかり研究しますが、本当に差が出るのは「どこで戦うか」です。
結論
今回の比較結果を一言でまとめると、
- 収益性最強:グロース市場
- 安定性最強:非グロース市場
- 総合力最強:全市場分散
となります。
もし私がこの戦略を使うなら、
- 相場が強気ならグロース中心
- 不安定相場なら非グロース中心
という使い分けをします。
売買ルール以上に、「どこで使うか」が重要です。



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