投資の世界では、「安く買って高く売る」という原則は誰もが知っています。しかし実際には、底値を見極めることは非常に難しく、多くの投資家が「まだ下がるかもしれない」という恐怖でエントリーを逃します。
そんな中、明確な数値基準で“底値圏”を判断する手法として知られているのが「3点チャージ投資法」です。
過去に3点チャージ投資法を解説した記事があります。ご興味の方はまずこちらを参考にしてください。
3点チャージ投資法とは何か
3点チャージ投資法とは、投資家の明地文男氏が提唱した逆張り型の売買手法です。
特徴はシンプルで、以下の3つのテクニカル指標がすべて「売られすぎ」を示したタイミングでエントリーする点にあります。
- 乖離率(移動平均線からのズレ)
- RSI(相対力指数)
- VR(出来高比率)
これら3つの指標が同時にシグナルを出した状態を「3点チャージ」と呼び、反発の可能性が高い局面として捉えます。
3点チャージ投資法の売買ルール
■ 買い戦略
以下の3条件をすべて満たした場合、翌日の寄り付きで買いエントリーします。
- 乖離率が -15%以下
- RSI(14日)が25%以下
- VR(25日)が30未満
※本記事では一般的な25日移動平均線を採用
■ 売り戦略
以下のいずれかを満たした場合、翌日の寄り付きで決済します。
- 乖離率 +15%以上 & RSI > 70
- 含み益が +10%以上
→ 利益確定を早めに行うことで、安定性を高める設計
バックテスト結果(2010年〜2026年)
実際にこの手法を用いて長期検証を行った結果を見てみましょう。
前回の記事とは違って、市場ごとにどれだけパフォーマンスが変化するかを検証してみました。
- 全市場を対象にした場合
- グロース銘柄のみを対象にした場合
それぞれの市場で、どちらがパフォーマンスがよいか検証してみました。
① 全市場対象
- 総取引回数:18,023回
- 勝率:83.38%
- 平均利益:13.56%
- 平均損失:20.50%
- 平均保有期間:約134日
- 期待値:+7.90%
特徴:
- 非常に高い勝率
- ただし損失幅はやや大きめ
② グロース市場限定
(グロース・旧マザーズ・JASDAQ)
- 総取引回数:9,552回
- 勝率:82.68%
- 平均利益:14.39%
- 平均損失:19.60%
- 平均保有期間:約116日
- 期待値:+8.51%
両者の比較と考察
両者を比較すると、以下の違いが見えてきます。
■ 勝率
- 全市場:83.38%
- グロース:82.68%
→ 大きな差はなし
■ 利益効率
- 全市場:期待値 7.90%
- グロース:期待値 8.51%
→ グロース市場の方が効率が高い
■ 保有期間
- 全市場:約134日
- グロース:約116日
→ グロースの方が回転が速い
■ 結論
- 安定重視 → 全市場
- 効率重視 → グロース市場
特にグロース株は値動きが激しく、逆張り戦略と非常に相性が良いと考えられます。
なぜグロース市場の方がパフォーマンスが良いのか
① ボラティリティが高い=乖離が大きくなる
グロース株は、将来期待で価格が形成されるため値動きが非常に激しいです。
- 好材料 → 急騰
- 悪材料 → 急落
この結果、移動平均線からの乖離(-15%など)が頻繁かつ深く発生します。
ポイント
3点チャージ投資法は
→「行き過ぎた下落」を狙う戦略
つまり、
ボラティリティが高い市場ほど“チャンスが増える”
② 個人投資家比率が高く、過剰反応が起きやすい
グロース市場(旧マザーズなど)は、機関投資家よりも個人投資家の割合が高い傾向があります。
その結果:
- パニック売りが起きやすい
- 短期目線が多い
- 材料に対して過剰反応しやすい
これはつまり、
RSIやVRが極端な数値になりやすい
3点チャージの3条件が揃いやすい環境です。
③ 流動性が低く、価格が歪みやすい
大型株に比べてグロース株は出来高が少ない銘柄も多く、
- 少しの売りで大きく下げる
- 少しの買いで急騰する
という特徴があります。
VR(出来高比率)が30未満になるのも、この影響です。
「売られすぎ状態」が誇張されやすい
④ ストーリー株は“戻りやすい”
グロース株は業績よりも「期待」で買われることが多いです。
つまり、
- 一度崩れても
- ストーリーが生きていれば
- 再び買われる
これは非常に重要で、
下落=企業価値の毀損とは限らない
ため、逆張りが機能しやすいのです。
⑤ トレンドの反転が速い
グロース株はトレンド転換が急です。
- 売られすぎ → 一気に反発
- 人気化 → 急騰
この「V字回復」が起きやすいことが、
- 平均利益の高さ(14.39%)
- 保有期間の短さ(約116日)
につながっています。
まとめ
3点チャージ投資法は、「売られすぎ」を数値で判断する極めて合理的な逆張り戦略です。
今回は全銘柄を対象にした場合と、グロース市場を対象にした場合の比較をしました。
結果としてグロース市場に投資対象を絞ったほうがパフォーマンスがよい結果となりました。
実はバックテストをする前から、そのようになると期待していましたが、確かにデータとしても検証できたと思います。
グロース市場はリスクが高いと言われます。
でも極端な市場のゆがみが生まれるため、3点チャージのような逆張りが機能しやすいのです。


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