はじめに|「頑張っているのに貯まらない」家庭に必要なのは、節約術より“支出の設計図”
「毎月それなりに働いているのに、なぜかお金が貯まらない」
「節約を意識しているのに、月末になると苦しい」
そんな悩みを抱えている家庭は少なくありません。
今回ご紹介するのは、横山光昭さんの著書
**『手取り20万円台でも毎月貯金していける一家の家計の「支出の割合」』**です。

この本の魅力は、単なる節約テクニック集ではなく、
“何に、どれくらい使っていいのか”を割合で示してくれることにあります。
家計管理がうまくいかない理由は、収入が低いからとは限りません。
むしろ多くの場合は、支出の優先順位が曖昧なまま、なんとなくお金を使ってしまっていることが原因です。
本記事では、本書の重要ポイントを整理しながら、
子育て世帯・共働き世帯・これから資産形成を始めたい家庭にも役立つ形で解説します。
本書の結論|家計は「金額」ではなく「支出の割合」で考える
本書の核心です。
家計は、支出額ではなく“支出の割合”で管理するべき。
たとえば、収入が増えても生活レベルが一緒に上がってしまえば、貯金は増えません。
逆に、手取りが20万円台でも、支出のバランスが整っていれば、毎月きちんと貯蓄できます。
著者は、家計を立て直すために次の考え方を重視しています。
- ボーナスを前提に家計を組まない
- 毎月の「手取り収入」で生活設計をする
- 先に予算を決め、その範囲でやりくりする
- 貯蓄の割合だけは、なるべく崩さない
- 家族で家計を共有し、同じ方向を向く
これは積立投資にも通じる考え方です。
「余ったら投資する」「余ったら貯金する」では、ほぼ資産形成できません。
最初に貯蓄・投資の枠を確保し、残りで生活する。
この“仕組み化”こそが、家計改善・資産形成の本質だと感じました。
家計が赤字になる家庭の共通点|固定費・無関心・協力不足
本書では、問題家計の特徴として次の3つが挙げられています。
- 固定費が高すぎる
- 行動力に欠ける(家計簿をつけない、見直しをしない)
- 家族の協力が得られない
特に重要なのが、固定費の見直しです。
固定費の代表例は以下の通りです。
- 住居費
- 生命保険料
- 教育費
- 車関連費
- 通信費(スマホ代)
- 電気・ガスなどの契約
食費や日用品の節約はすぐに効果が見えますが、実はインパクトは限定的です。
一方で、固定費は一度見直せば、毎月自動的に支出が減るため、家計改善の効果が非常に大きい。
特に本書で繰り返し強調されているのが、生命保険と車です。
見直し効果が大きい2大項目|「保険」と「車」
1. 生命保険は“入りすぎ”が多い
家計が苦しい家庭ほど、なぜか保険料が高い。
これは本当にありがちな話です。
著者は、
「家計を顧みず保険をかけすぎるな」
と強く警鐘を鳴らしています。
特に参考になるのが、医療保険・生命保険の考え方です。
- 子どもが生まれたら死亡保険は検討する
- ただし必要以上に大きな保障はいらない
- 医療費は高額療養費制度がある
- 保険金額は年齢や家族状況に応じて徐々に減らせる
- 無駄な保険はやめ、ネット生保も選択肢にする
本書では、1か月入院しても高額療養費制度を考慮すれば、
自己負担はおおむね上限が見えているため、
「不安だから」と過剰に保険に入るのは非効率だと示しています。
家計管理の観点では、
保険は“安心を買う商品”であると同時に、“固定費”でもある。
この視点は非常に重要です。
2. 車は“持っているだけでお金が減る”
本書の中でも、かなりインパクトがあるのが車の話です。
著者は、**「車はかなりの金食い虫」**と断言しています。
我が家は車を保有していますので耳が痛い話ですが、確かに維持費は大変です。
車にかかる費用は、購入費だけではありません。
- 駐車場代
- ガソリン代
- 車検
- 税金
- 保険
- メンテナンス費
本書では、利用頻度が少ないのに所有しているケースに対して、
「月5回しか乗らないなら、1回あたりのコストは非常に高い」
という具体的な視点を提示しています。
都市部や公共交通機関が整っている地域では、
カーシェアやレンタカーのほうが合理的な場合も多いでしょう。
家計を改善したいなら、
“車を持つのが当たり前”という思い込みを疑うことが必要です。
節約の落とし穴|「やみくもな我慢」は続かない
本書が優れているのは、
単に「節約しろ」と言わない点です。
むしろ著者は、次のように述べています。
- 極端な節約はストレスをためる
- ストレスは反動の散財につながる
- 小遣いや嗜好品は、削れるようで削るべきではない
- 食費は節約しやすいが、節約しすぎない
- 継続できる家計管理こそ正解
NGな例として、たとえば、
- コーヒー代をゼロにする
- 休日の楽しみをすべて削る
- 外食を完全禁止にする
こうした方法は、一時的には効いても長続きしません。
家計管理で大切なのは、
**「苦しい節約」ではなく「無理のない予算設計」**です。
つまり、
- 先に予算を決める
- その範囲で楽しむ
- 余ったら貯めるのではなく、最初に貯める
この順番が重要なのです。
家計再生の鍵は「家族会議」|夫婦で同じ方向を向く
家計管理は、片方だけ頑張ってもうまくいきません。
本書でも、
「どちらかだけがお金を管理し、もう片方が無関心だと貯蓄しにくい」
と指摘されています。
特に子育て世帯では、
- 教育費をどう考えるか
- 習い事をどこまでやるか
- 保険をどこまでかけるか
- 車を維持するか手放すか
- 旅行やイベントにいくら使うか
こうした判断を夫婦で共有しないと、必ずズレが生まれます。
著者がすすめるのは、
「マネー会議」を家族で開くこと。
これは非常に良い習慣だと思います。
月1回でもいいので、
- 今月の支出
- 来月のイベント費
- 貯蓄額
- 大きな買い物の予定
を共有するだけで、家計の透明性が上がります。
さらに、子どもにも
「お金は大切」「無限ではない」
という感覚を少しずつ伝えていくことが、将来の金銭教育にもつながります。
今日から実践できる具体策|小さな見直しが家計を変える
本書には、すぐに取り入れやすい実践アイデアも豊富です。
特に印象に残ったものをまとめると、次の通りです。
- ATM手数料を払わない習慣をつける
- 買い物は予算以上のお金を持っていかない
- 週1回は冷蔵庫の余り物を使い切る日を作る
- 電気契約を見直す
- よく使う照明はLEDに変える
- 待機電力を減らす
- 受信料や保険料はまとめ払いを検討する
- 新聞を惰性で取り続けない
- 服を買う前に重複チェックをする
- 「1つ買ったら1つ手放す」ルールを作る
- チケットは金券ショップも活用する
- 娯楽費を使わなかった月は、旅行積立に回す
どれも派手ではありません。
しかし、家計改善とは本来こういうものです。
一発逆転の節約術はない。
小さな無駄を減らし、意味のある支出を残す。
この姿勢こそが、長期的な資産形成につながります。
教育費・老後資金・収入アップ|“守り”だけではなく“攻め”も必要
本書では、教育費や老後資金にも触れられています。
- 子ども1人あたりの教育費は大きい
- 周囲に流されて早期教育で散財しない
- 習い事は自治体主催のものも活用する
- 老後は公的年金を前提に、不足分を冷静に考える
ここで大切なのは、
「周囲がやっているから」で支出を増やさないことです。
育児世帯は特に、比較でお金を使いやすい。
習い事、イベント、知育玩具、ブランド服……。
でも本当に必要なのは、
**“見栄の支出”ではなく、“価値のある支出”**です。
そして、著者は最後に重要なことも伝えています。
節約だけでなく、収入を増やす努力も必要。
- 副業
- ブログ運営
- 投資による資産形成
- スキルアップによる本業収入アップ
家計管理は、支出を減らすだけでは限界があります。
だからこそ、
「守りの家計管理」と「攻めの収入アップ」
この両輪で考えることが重要です。
まとめ|家計を変えるのは“我慢”ではなく“ルール化”
『手取り20万円台でも毎月貯金していける一家の家計の「支出の割合」』は、
家計管理が苦手な人にこそ読んでほしい一冊です。

この本から学べる本質は、次の3つに集約されます。
- 家計は「なんとなく」ではなく「割合」で管理する
- 見直すべきは食費より、まず固定費
- 家族で共有し、無理なく続けられる仕組みを作る
特に印象的だったのは、
「支出割合を完璧に守れなくてもいい。ただし大きくズレるのは問題」
という考え方です。
家計管理は、完璧主義だと続きません。
少しズレても修正できる、そんな柔軟さが必要です。
もし今、家計に不安があるなら、
まずは次の3つだけでも始めてみてください。
- 毎月の手取りベースで予算を決める
- 保険・車・住居費など固定費を点検する
- 夫婦で月1回のマネー会議をする
それだけでも、家計は確実に変わり始めます。
そしてその先に、
貯金できる家計 → 投資できる家計 → 将来に強い家計
という流れが生まれます。
家計改善は、人生改善です。
本書はその第一歩として、非常に実用的な一冊でした。


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