『No.1アナリストがいつも使っている投資指標の本当の見方』書評|数字の意味がわかれば投資はもっと強くなる

ビジネス書

株式投資を学び始めると、多くの人が最初にぶつかる壁があります。
それが、PER、PBR、ROE、自己資本比率などの投資指標が多すぎて、何を見ればいいかわからない問題です。

ネットや証券会社の画面には無数の数字が並びます。しかし、それらを「ただ知っている」だけでは意味がありません。重要なのは、その数字をどう使うか、どの局面で役立つかです。

本書『No.1アナリストがいつも使っている投資指標の本当の見方』は、まさにそこを丁寧に解説した一冊です。

単なる指標解説本ではなく、

  • どの指標が本当に使えるのか
  • 景気局面によって何を見るべきか
  • バリュー株・成長株をどう見分けるか
  • 個人投資家が実践できるスクリーニング方法

まで踏み込んでいます。

今回は本書の内容をもとに、初心者にもわかりやすく整理しながらレビューします。

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投資で勝つには「他人と逆の行動」が必要

市場で利益を得るには、他人と同じ行動ではなく、逆の行動を取る必要がある。

みんなが強気のときに慎重になる。
みんなが悲観しているときに冷静に買う。

これは簡単そうで非常に難しいです。なぜなら、人間は多数派に流されやすいからです。

その感情を抑えるために必要なのが、客観的な投資指標です。

数字に基づけば、感情ではなくルールで判断できます。

PERだけ見て投資してはいけない理由

PER(株価収益率)は最も有名な指標です。

PER=株価 ÷ 1株利益(EPS)

一般的に15倍程度が目安とされます。

本書でも、

  • PER15倍は割高ではない基準
  • ただし必ずしも割安ではない
  • 業種比較が重要

と説明されています。

これは非常に重要な視点です。

例えば、

  • 成長企業のPER20倍
  • 成熟企業のPER12倍

なら、単純に12倍の方が割安とは言えません。

成長率や将来性が違うからです。

つまりPERは単独で使う指標ではなく、業種比較・成長率との併用が前提となります。

本当に見るべきは「利益の質」

本書で繰り返し語られるのが、利益を見るなら経常利益という考え方です。

営業利益だけでは本業しか見えません。
最終利益だけでは特別損益や税金の影響があります。

その中間にある経常利益は、

  • 本業の収益力
  • 財務コスト
  • 本業以外の継続利益

をバランスよく反映します。

そのため、

経常利益の増加率=企業の勢いを見る重要指標

とされています。

特に中期投資では、

  • 増収増益企業
  • 利益改善企業
  • リストラ後回復企業

などを見極める材料になります。

ROEは優秀だが万能ではない

ROE(自己資本利益率)は近年とても注目されました。

ROE=純利益 ÷ 自己資本

株主のお金をどれだけ効率的に使って利益を出したかを見る指標です。

本書では、

  • ROE8%以上が良い基準
  • 5%はボーダーライン

としています。

これは妥当な目線です。

ただし著者は、ROEだけを信じる危険性にも触れています。

なぜならROEは、

  • 借金を増やす
  • 自己資本を減らす

ことで見かけ上高くなる場合があるからです。

そのため、

  • ROA(総資産利益率)
  • 自己資本比率
  • 売上高営業利益率

も合わせて見る必要があります。

このバランス感覚がよい投資には必要となります。

景気局面で使う指標は変わる

本書最大の特徴はここです。

著者は、投資指標には「旬」があると語ります。

つまり、景気局面によって有効な指標は変わるのです。

景気の谷・恐慌局面

企業利益が壊滅的になるためPERは機能しません。
赤字企業も多くなります。

このとき有効なのが、

  • PBR
  • PSR
  • ネットキャッシュ比率

です。

利益ではなく、資産価値や売上規模を見る局面です。

景気回復初期

業績改善期待が出てくるため、

  • 経常利益成長率
  • PBR
  • ROE

が有効になります。

景気拡大期

利益成長が鮮明になるため、

  • PER
  • リビジョン(業績予想上方修正)
  • ROE

が強くなります。

景気後退期

守備力が重視されるため、

  • 配当利回り
  • EV/EBITDA
  • 自己資本比率

が重要になります。

初心者ほど「PERだけ見ればいい」と思いがちですが、市場環境で評価軸は変わります。

個人投資家が真似しやすいスクリーニング条件

本書には具体的なスクリーニング条件も多く載っています。

たとえば中期投資向けとして、

  • PERが業種内で割安
  • ROE平均以上
  • 営業利益率平均以上
  • 自己資本比率が極端に低くない
  • 時価総額300億円以上

などです。

個のスクリーニングの意図ですが、

  • 小型すぎる株の地雷回避
  • 割安性
  • 収益性
  • 財務健全性

を同時に見ています。

個人投資家がありがちな、

「PERだけ低い株を買って失敗する」

というミスを避けやすくなります。

長期投資はPBR重視という考え方

本書では、

7年以上の長期投資ならPERよりPBRの方が有効

と述べています。

これはバリュー投資の王道的発想です。

PBR(株価純資産倍率)は、

株価 ÷ 1株純資産

企業解散価値や資産価値との比較に近い概念です。

時間が経つほど、

  • 割安株の是正
  • 自社株買い
  • 配当強化
  • M&A対象化

などが起きやすく、低PBR株は見直されやすいという考えです。

近年は東京証券取引所が、PBR1倍割れ企業に対して資本効率の改善や株価を意識した経営を強く求める方針を打ち出しました。

以前よりも低PBR企業が見直されやすい環境になりつつあり、投資家の注目度も高まっています。
低PBR株への投資は、こうした制度変化も追い風になる局面があります。

この本の優れている点

① 指標を暗記ではなく実践で学べる

単なる用語集ではありません。
「いつ使うか」が学べます。

② 景気循環との結びつきが深い

景気局面別の説明は非常に実践的です。

③ 個人投資家向けに落とし込まれている

機関投資家理論だけで終わらず、実際の銘柄選びまで踏み込んでいます。

こんな人におすすめ

この本は特に以下の人におすすめです。

  • PERやPBRの意味が曖昧な初心者
  • ファンダメンタル分析を学びたい人
  • 数字で株を選びたい人
  • 感情ではなくルール投資したい人
  • 中長期投資家

逆に、デイトレード中心の人には優先度は下がります。

総評|数字の意味がわかると投資判断は激変する

『No.1アナリストがいつも使っている投資指標の本当の見方』は、

投資指標の辞典ではなく、使い方の教科書です。

多くの投資家は、

  • PERが低いから買う
  • ROEが高いから買う
  • PBR1倍割れだから買う

と単純化しがちです。

しかし本書は、

その指標がどの環境で有効なのかまで考えろ

と教えてくれます。

これは初心者が一段レベルアップするために非常に重要な視点です。

数字を見ているのに勝てない人ほど、一読する価値があります。

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