株式投資で成功したいと考える人の多くは、「どうすれば儲かるか」を知りたがります。ですが、現実には儲け方以上に“やってはいけないこと”を避ける方が重要です。

『株式投資これだけはやってはいけない』(著者:東保 裕之)は、初心者が陥りやすい失敗や、資産を失う典型パターンを具体的に示しながら、長く勝ち残るための思考法を教えてくれる一冊です。
本書を読むと、株式投資とは予想ゲームではなく、資金管理・心理管理・損失管理のゲームであることがよく分かります。
本書の核心は「勝つことより、負けないこと」
プロ投資家は特別な未来予知能力を持っているのではなく、負けない方法を知っている人たちです。
多くの初心者は、
- 次に上がる銘柄を探す
- 一発逆転を狙う
- 勝率100%の方法を探す
といった発想になりがちです。
しかし、現実の市場では未来は誰にも読めません。そこで重要になるのが、
- 大負けしない
- 資金を守る
- ミスしても再起できる状態を保つ
という姿勢です。
投資で一度大きな損失を出すと、取り返すには想像以上の利益率が必要になります。だからこそ、まずは守ることが優先なのです。
余裕資金で投資せよ|生活費と混ぜるな
本書では繰り返し、冷静さを失う金額を投資してはいけないと説かれています。
生活費を投資に回してしまうと、
- 少し下がっただけで恐怖を感じる
- 焦って売る
- 正しい判断ができなくなる
という状態に陥ります。
これは非常に多い失敗例です。
投資資金は、なくなっても生活に支障が出ない余裕資金で行うべきです。さらに、著者は投資名人ほど資産の多くを現金で持っていることが多いと述べます。
つまり、常にフルポジションで勝負する必要はありません。むしろ現金を持つことも立派な戦略なのです。
損切りこそ最強の技術
本書で最も重要なメッセージの一つがこれです。
ロスカットこそ勝者への最短距離。
初心者ほど、
- 含み損を認めたくない
- いつか戻ると期待する
- ナンピンして傷口を広げる
という行動をしがちです。
しかし、著者は損切りを「損失」ではなく、儲けるために必要なコストと捉えています。
この考え方は非常に優秀です。経営者が広告費や人件費を払うように、投資家はミスした時の撤退コストを払うだけなのです。
損切りできれば、
- これ以上損が広がる恐怖が消える
- 冷静さを取り戻せる
- 次のチャンスに備えられる
というメリットがあります。
シンプルな手法を繰り返せ
本書では、複雑な投資法よりも、単純で再現性のある方法を継続することが勧められています。
世の中には、
- 高度なテクニカル分析
- 難解な経済理論
- SNSで話題の手法
があふれています。
しかし、多くの個人投資家は難しい方法を学んでも継続できません。結局、理解しきれず感情で売買してしまいます。
それよりも、
- 自分が理解できる
- 続けられる
- ルール化できる
方法を磨く方が、長期的には優位性が高いのです。
天井と底はどう見極めるのか
本書ではチャートの見方にも実践的な示唆があります。
たとえば、
- 天井は一瞬で終わることが多い
- 平らな天井は少ない
- 底値圏はなべ底型になりやすい
といった経験則です。
また、「誰も天井は事前に分からない」と断言している点も重要です。
つまり、完璧な高値売りを狙うのではなく、
- 上昇が鈍化したら利確する
- とがった動きの後に売る
- 欲張らない
という現実的な売買が求められます。
強い銘柄を買え|弱い銘柄に近づくな
初心者は「安い株」を好みます。ですが本書は逆の視点を示します。
- 新値更新銘柄への逆張りは危険
- 強い銘柄はさらに強い
- 最大手企業の方が伸びやすい
- 弱い会社には弱い理由がある
これは非常に鋭い指摘です。
100円の低位株より、1,000円でも成長企業の方が上がるケースは多くあります。
また、
- 無配当
- 株価100円以下
- 純資産が低い
- 剰余金マイナス
など、経営危機の兆候がある企業には近づくなという助言も堅実です。
株価を見すぎるな
著者は、頻繁に株価を確認しないことも勧めています。
これは現代人にこそ必要な教えです。
スマホでいつでも株価を見られる時代ですが、見すぎるほど、
- 小さな値動きに反応する
- 感情的になる
- 売買回数が増える
傾向があります。
著者は終値だけ確認して、他の仕事に集中しろと述べます。
「あなたの仕事は株価を見ることですか?」
本業で稼ぐ力を伸ばしながら、余裕資金で投資する方が人生全体では幸せなのです。
指標やテクニカル分析との向き合い方
本書では、
- MACD
- 25日乖離率
- サイコロジカルライン
- ボリュームレシオ
などにも触れています。
ただし、著者の姿勢は「指標を盲信するな」です。
テクニカル分析はあくまで市場参加者の心理を見る道具であり、絶対的な未来予測装置ではありません。
本書がおすすめの人
向いている人
- 株を始めたばかりの初心者
- 損切りができず悩んでいる人
- 感情的な売買をしてしまう人
- 長く勝ち残る投資法を学びたい人
向いていない人
- 短期間で億万長者になりたい人
- 一発逆転銘柄を探している人
- 地道な資金管理を嫌う人
総評

『株式投資これだけはやってはいけない』は、投資で本当に大切なことだけが詰まった良書です。
特に、
- 余裕資金で運用する
- 投資上限を守る
- 損切りを徹底する
- シンプルな手法を繰り返す
- 強い銘柄に乗る
この5点だけでも実践できれば、多くの初心者より一歩先に進めるでしょう。
投資で勝つことを考える前に、まず負け方を学ぶ。
その重要性を教えてくれる一冊です。



コメント